ぼっちに自信を持とう!無理に行動的、社交的である必要は全くないその理由とは
突然ですが、出会った人に趣味を聴いたら「音楽をやっています」と答えられたとします。
「へぇ~、どんな活動してるんですか?」
A:「みんなでわいわい、バンドをやっているんです」
B:「一人で打ち込みでやってるんです」
この二人はそれぞれどんな人でしょうか?性格を想像してみてください。「バンドで音楽活動をすること」と「一人でDTMなどの打ち込み音楽を作ること」について、どのような印象を持ちますか?同じように、皆で一緒にクラブで音楽を聞きながら騒ぐのと、一人で静かに分析的に音楽を聞くことについてどう思いますか?
本当はそこに優劣はないはずなのですが、社会ではどうも「外向的になりましょう」という教育や文化が強いため、一人で作品を作っていると「暗い」とか、「社会への適合性がない」なんて言われてしまうことがあります。最近は「コミュ障」という言葉も市民権を得ています。僕も人からするとそういう分類になると思いますが、内向的な性質の人は外向的になったほうが良いのでしょうか?
目次
外向性・内向性とは
【外向性】 興味や関心が外界に向けられ刺激に敏感に反応し、決断が速く、行動的で社交的な性格特性
【内向性】 興味や関心が自己の内面に向けられ、主観的、内気・孤独で思慮深い反面、実行力・社交性に乏しい性格特性。
– デジタル大辞泉
スーザン・ケインの説く「内向的な人が秘めている力」
TEDという非営利団体をご存知でしょうか。TEDは講演会活動をしています。Webでカンファレンスのスピーチ映像を見たことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。その中でスーザン・ケインさんが「内向的」というテーマで語ったスピーチが非常に素晴らしかったのでご紹介します。
彼女のスピーチを拝見した時、「ああ、これだな」と非常にしっくりきました。彼女の素晴らしいスピーチの中から、特に大切なんじゃないかなと思うことを僕なりにまとめました。
スピーチの要点20点
- 内向的な人が無理に外向的な選択をすることは自己否定である(しかもそれは無意識に選択している)
- クリエイティビティやリーダーシップにおいて、内向的な人は力を発揮できる
- 内気と内向的であることは違う。内気とは「社会に判断されることを恐れること」。内向的ということは「外向的な人よりも刺激が必要がない環境でパフォーマンスを発揮できるということ」
- つまりその人にあった「刺激(環境)」が大切である
- 職場や学校では「集団的な刺激の中で良いアイディアや作品が作られる」という風潮がある
- 内向的な人のほうが知識を持っていたり、頭が良いことが多いにも関わらず、外向的であることを求められている
- 内向的なリーダーは、注意深く、リスクに対して慎重であるメリットがある
- 内向的なリーダーは他の人を尊重するが、外向的リーダーは自分で全てを仕切ることにに躍起になる傾向がある
- 外向的でなくとも、内向的な活動に信念のある人間は自ずと注目される
- 外向的な人も、内向的な人も上手くバランスを取れていることが生産的な社会だ
- 技術者が外向的だったら技術を極めることなんて出来ないだろう
- 外向的な面と内向的な面が必要だ。研究者は孤独に一人研究する時間が必要で、その結果をコミュニティに持ち帰る
- 人と一緒にいると、よくも悪くも真似てしまって、新規性のある研究は難しい
- 話し上手とアイディアの優れていることは違う
- 「大企業化」とされた近代社会で、知らない人と一緒に仕事をするために「外向的である人」を突然求めるようになった
- 内向的な人は相手のことをとても尊重しているからこそ、コミュニケーションが苦手に感じている
- 絶えずグループ活動をすることはやめよう。そしてカフェでお喋りをするような交流を
- 職場や学校にはプライバシー・自由・自立性がもっと必要。子どもには一人で作業をするやり方を教えよう
- 荒野(なにもないところ)に行こう。静かなところで思いに耽ける時間を少し作ろう
- スーツケース(経験)の中から「自分の喜びやエネルギー」を人に分け与えよう。内向的な人も自分の経験が「人々が求めているものなんだ」と意識しよう
内向的な人は何故一人でいるのか?
彼女のスピーチや、経験などからの考察です。
外敵(刺激)から身を守って活動性を上げている
どのような生き物も危険を感じている時は身を隠します。人に見られれば見られるほどストレスは溜まりますので良い活動は出来ません。外向的な人は「人と喋りながら何かをすると安心する」と思うでしょう。ただし、活動の内容によっては人と一緒にそれをすることは気が散る以外の何物でもないのです。
お互いのテリトリーを大切にしている
生き物にはそれぞれのテリトリー(縄張り)が存在します。そこに入って良いかどうかは人それぞれが決めることです。「自分のテリトリーに入ってきてほしくはないし、また、相手のテリトリーを侵害したくもない」。そういうバランスを尊重する繊細な人は、一人でいるほうが気が楽でしょう。
そもそも人と一緒にいる必要がない
その人が最高のパフォーマンスを発揮するために「他の人とのコミュニケーションが必要ない」という状況が考えられます。想像をする時や、習熟、研究の段階では、一人で黙々とデスクに向かって分析をしたりする時間がどうしても必要です。そういう時期には、周りの世界のことはどうでもいいのです。むしろ、そういう状況で他人に会うことは生産性を下げますし、相手にもあまり興味が無いわけなので非常に退屈です。つまり、人が嫌いだとか、人が苦手だというのとはちょっと違うベクトル上にいるのです。
人によって「一人」が必要な時間は違う
例えば音楽をやる人がずーっと仲間と一緒に合わせの練習をしていたり、常に発表をしていたらあまり上達しないだろうと思います。吹奏楽などの集団演奏でも、基本的に個人練習が主です。僕の妹はバンドをやっていますが、一人で黙々と作曲をしたり、ギターの練習をしたりする時間をたくさん設けています。一人で研究し、試行錯誤し、深く深く掘り下げて考える時間というのが必要なのです。
何かを専門にしている人は、それに打ち込むための「個人の時間」が主な時間の使い方になってきます。彼らはコミュニケーションが思考の邪魔になるような作業をしています。それが1日中かも、1ヶ月かも、1年かもしれない。とにかく、一人でいる環境が必要なのです。
一人の時間の後に自然に注目、評価されていく時期が来る
ある事柄を深く研究して一定のところまで来ると、内向的な人も(極端でない限り)公表の段階に移りますし、それよりも深く研究している人は、恐ろしいほどの情報を持っていることもあるので、知られさえすれば更に注目されます。僕の場合はSoundCloudやニコニコ動画などで音楽をたまに公表しながらやってきました。音楽の宣伝なんてほとんどして来ませんでした。あるきっかけでTwitterを知って始めることにしました。始めた頃から今まで、つぶやきもそこまで多くはありません。しかしそこで、自分が今までやってきたことを認めてくれる人たちに出会うことが出来ました。これは当然、音楽を孤独に一生懸命やってきた下積みがあってこそでしょう。
人と必要なだけ関わったら、また一人の時間を作る
Twitterではとても刺激的な、自分と異なる魅力を持った人たちとの出会いがありました。この場で少し紹介させていただくと
ナベちさん@nabecchi1:歌い手さん。僕が初めて「生歌入りのオリジナル曲」を作ることが出来たのは彼女のお陰です。また、歌モノの制作における「人間らしさ」をその歌声をもって教えてくれました。
よんさん@yooooooooooone:ニコニコでミックスなどのエンジニアリングをされている方。僕にミックスのいろはを教えてくれています。
Kenさん@durbrow:アメリカ在住の巡音ルカファン。彼との交流の上で、初めての英語曲、The Maddening Distanceを制作することが出来ました。
このお三方には本当に頭が上がらなくて、Twitterを始めて9ヶ月は、彼らとの交流によって大変成長することができたと思っています。僕達がものづくりをしている時、どうしても「ここから先は自分の力でやることが難しい」と感じることがあります。そういう時には内向的な人でも、人に助けを求めたり、アドバイスを貰う必要を感じると思います。そう感じた時には自分の中の外向的な面を発揮すればよいのです。常に外向的である必要はありません。
僕の場合は本当に良縁に恵まれました。彼らにどうしたら恩返しができるでしょうか?
僕の音楽に理解を示してくれている方々に対しては、僕が今よりも更に成長して、彼らにより質の高い作品を届けられるようになることだろうと、僕は思いました。
そう、そのためにはまた「一人で黙々と研究に励む」という時間が必要なのです。
バランスが大事だけれども、自分一人でバランスを取らなくても良い
僕にはとても外向的な、大学時代からの大切な友人がいます。僕が体調が悪かったり気乗りしなかったりしてずーっと誘いを断り続けているのに、未だに「今度いつ会える?」と誘ってくれるような奴です。彼は僕の都合はお構いなくに連絡してくれます。二人は興味も性格も全く違うタイプです。
つまり、自分自身が外向的でなくとも、周りに外向的な人がいることで十分に外向性は補えるのです。彼は僕を否定せずに付き合ってくれて、時々会えば刺激を与えてくれますし、彼は僕が内向的な気質によって得た知識で、安くて高性能なコンピュータを買うことが出来ます。これが互いを尊重するということです。相手と自分の違いを無理に擦り合わせずそのままでいることです。繁華街が苦手なのに無理にその中に出かけることだけが「人付き合い」ではありません。どうしてそんな無駄なエネルギーを使う必要があるでしょうか?
自分と相手が妥協できるラインで付き合うことが、お互いにとって一番長く付き合える方法だと思います。
まとめ:内向的な人と外向的な人の両方が必要
スーザンの言うように、「完全に内向的な人」や「完全に外向的な人」というのはなかなかいないでしょう。誰もがその間で多少の偏りを持っていて、それを内だ外だと自分で思っているのです。そして、内向的であることをネガティブに感じているのです。
内向的な人々が向かっている対象が、空想の世界や人の心の世界であれ、技術の探求であれ、それらを突き詰めて現実に還元されれば、社会的には非常に有益です。
現に音楽の世界で言えば、作曲家も、高速インターネットと高性能なコンピュータ、ボーカロイドが世に現れたことで個人レベルで今までの研究技術の集大成を発表することができました。そして、それをお祭り騒ぎにする外向的な人たちの活動によってムーブメントになりました。これによって、「歌といえば歌手ありき」という概念を覆すほど、クリエイターサイドに力があることを世に見せつけました。内向的、つまり主観的でこだわりの強い、妥協のない人間ほど、高い品質のものを黙々と作る素養があるでしょう。その意味では、他の人が制作に関わると邪魔になるかもしれません。そんな内向的な人たちと外向的な人たちが組むことでビジネスとしても成功した典型だと思います。
内向的な人は人付き合いがうまくないかもしれませんが、関心が他にあるのです。出来ることがたくさんあります。自信を持ってください。そして更に突き詰めてください。また、自分を活かしてくれそうな、または自分が活かしてあげられそうな外向的な人との繋がりを大切にすることで、世界が開けていくと思います。
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