Miyabi Lucas

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「音楽が聞けない人」へ作曲家は何が出来るか?

   

quiet

実は僕には何度か音楽が聞けない時期があり、大変苦しんだ時期があります。その時の状況を思い出しつつ、クリエイターは音楽の幅を広げようぜっていう話をしたいと思います。

 

作曲者が一度は陥る「分析疲れ」

ある程度音楽が出来るようになると「人に聞いてもらいたい」という欲求がでてきます。ものづくりを行う人にとってこれは自然なことです。人からみてどのくらいのレベルかは置いておいて、その人がステップアップするために必要な感情です。僕がニコニコ動画に投稿を始めたのも「自分の音楽ってどう受け取られるんだろう?」という興味からでした。機材もあまり揃っていない中で投稿するのはなかなか勇気が要りました。プロの作品の横に並べて比べられるようなものですからね。

何作か作っていくうちにたまたま伸びた作品がありました。「アゲハ」です。

このDTM親父botさんのひと押しによって結構再生数が伸びたので、僕は人から反応があることや、SNSでの反応を意識するようになったんですね。しかし、ペコ29を作った後に考えすぎてバテちゃった。その後、半年くらいは音楽を作ることが出来ませんでした。微熱がずっと続いて半年寝込んでいました。その時は音楽を聞きたいとすら思いませんでした。

 

神経過敏になっている状態の時は音という刺激に触れられない

音楽が聞けなくなるのは何も作曲家だけではありません。音楽が好きで昔から色々な音楽を聞いていた僕の友人も、神経が過敏になってしまった時には「音楽を聞くことが出来なかった」といいます。以下、友人の声を引用します。

音自体を避けたいレベル

精神参ってる時は視覚も味覚も聴覚も”全部過敏症”で避けてて、無に成りたい若しくは無に入りたかった。「音がないと淋しいからTVつける」にもたどり着けなかった。

この状態の時が僕にもありました。こういう時には音楽にも触れないほうが良いのでしょう。耳栓の記事が一番読まれているこの音楽ブログの実情から見ても、音に悩んでいる人は少なく無いと思います。とはいえ、いつまでも無音の中にいると、考えこんで憂鬱な気分になってしまったりしますので、少し良くなってきたら音楽に触れるのも良いと思います。音楽自体には聞いているだけで自律神経を整える効果があると言われています。ビートに合わせてリズムを取ったりすることで僕もだんだん健康になってきたのです。いわば病後の作曲はリハビリだったんですね。

 

ボーカルの意味情報に疲れてしまうレベル

普通の曲(歌入り)が嫌でイージーリスニング聞いてた時の理由は「ボーカルが邪魔」で。(外国語なら意味解らないし聞き流すBGMにできたけど)ゆっくりなリズムかメロディ追うだけって聞き方をしてたねー。

これは作曲家の人にとって、とても重要な「音楽ニーズ」について語っていると思いませんか? そう、ボーカルが邪魔と思う人もいるということです。音楽は何もボーカルありきのものだけではありません。もちろん、ポップスにおいてはボーカルは必須ですが、音楽はボーカルのついたものだけではありません。

また、僕ものんびりする時に聴く曲はもっぱらシンプルなインストであることは事実です。妹はブロガーですが、作業用のBGMはやはりインストです。ボカロはともかく、歌が入った音楽には感情が含まれた言語情報が入っているので、その意味解釈に結構なエネルギーを使います。音楽は聞いているだけで結構神経をつかうものなのです。そのためボカロで音楽作っていながら、ぶっちゃけ人のボカロ曲ってあまり聴いてないんですよ。(作り手のみなさんどうです?笑)

イージーリスニング、ヒーリングミュージックについては以前ヒーリングミュージックのテンポについてでも書きましたが、「ゆったりしたテンポで心地良いと感じられるように作られている作品が多い」ので、まず神経に障りにくいんですよね。それでも過敏になっているときは「短調を聞きたくない」とか「抑揚がない方がいい」とか色々な制約が自分の中に生まれます。

 

ヒーリングミュージックが作れる作曲家が増えて欲しい

そういうわけなので、僕としても「ヒーリングミュージック」というものには大変な憧れがあるのですが、元気な時に作曲をするとどうしても元気な曲になってしまうんですね。 あとは「この音楽は展開がなくてあまりにつまらないのではないか」と自分で飽きてしまうので、なかなか癒やしの音楽というのは完成しない。なかなか難しいんですよね。

「これはほんと聴いてて単調でつまらないなあ」という音楽こそ、実は求めている人がいるかもしれません。歌も、頭を使う歌詞が必ずしも良いというわけではありません。

音楽を勉強してテンションコードなどの複雑な響きを覚えると、どうしても音数の多い音楽を作りがちになるのですが、実はもっとシンプルなものの方が隠れた需要があるんじゃないか。そんなことを思ったりする今日このごろです。

 

 

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